『君たちはどう生きるか』に異論あり!
トピックス, 哲学・思想・心理・教育18年4月刊行
問題提起の書
タイトル | 『君たちはどう生きるか』に異論あり! |
---|---|
サブタイトル | 「人間分子論」について議論しましょう |
著者 | 村瀬 学 |
発売日 | 2018年 04月 |
本体価格 | 1300円 |
ISBN | 978-4-86565-120-1 |
判型 | 四六判・並製 |
リード文 | 問題提起の書。本書によって、ベストセラーをもっと有効に活用しましょう。感動の古典的名作といわれ、漫画とあわせて大ベストセラーになっている吉野源三郎『君たちはどう生きるか』ですが、この本が生き方の模範のようにされていることに異論があります。 |
解説・目次 | 問題提起の書 本書によって、ベストセラーをもっと有効に活用しましょう。 感動の古典的名作といわれ、漫画とあわせて大ベストセラーになっている吉野源三郎『君たちはどう生きるか』ですが、この本が生き方の模範のようにされていることに異論があります。以下の重要な問題が見逃されていると考えるからです。 ★人間観…作品の冒頭、コペル君が発見し、おじさんが科学的なものの見方として称揚する「人間分子観」は、この本の根本的なものの見方になっています。しかし、このものの見方の偏重は、進歩に寄与しない人間を排除し、人間ひとりひとりを尊重しない人間観となります。これを作品にそって具体的にみていきます。もちろん対論を提示します。 ★すり替え…「貧困」や「格差」は「労働者」の問題に、「共同の意志」と「個人」の問題が「個人」と「個人」の友情の問題にすり替えられています。こうしたすり替えは作品のいたるところに存在します。 ★英雄礼賛…文庫版解説の丸山真男氏もさじを投げ、漫画版では削除された「ナポレオン礼賛」の章。上記の人間観が英雄礼賛に結びつくのは必定です。コペル君・おじさんの発想の危うさが際立っています。 ★解決法…事件の解決は、「力」にうったえる方法によっています。本当の解決とはいえません。本書の「いじめ」に対する考え方を明確に示します。 |
著者プロフィール | 1949年京都府生まれ。現在、同志社女子大学特任教授。 著書『初期心的現象の世界』『「いのち」論のはじまり』『「あなた」の哲学』『自閉症』『次の時代のための吉本隆明』『徹底検証 古事記』『古事記の根源へ』ほか、多数 |