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世の中の話題とうちの本
本にまつわる話題や、言視舎からのお知らせをお届けします。
夕刊フジに書評が掲載されました
「辛い時も楽しい時も腹は減るんだよねえ、で、焼きそば食べたら歯に海苔つくんだよね」
これは、NHK朝のドラマ『あまちゃん』で、主人公の母親・春子を演じた小泉今日子のセリフである。『あまちゃん』はオジサンをはじめとして、それまで朝ドラを観ていなかったファンをひきつけた伝説的なドラマだ。脚本を書いたのはクドカンこと宮藤官九郎。脚本家、作家、演出家、映画監督、俳優、ロッカー等、マルチプレーヤーの名をほしいままにしている才人。冒頭にみたとおり、人生の見過ごされそうな「真実」について、具体的かつユーモアをまぶしたような、なかなかの名言を吐く。そんなクドカンのドラマや映画作品から名言をチョイスし、その魅力を味わいつくしたのが本書。同時に、「オジサンたちはなぜ『あまちゃん』にハマったのか」、「男はヤンキーかオタクに二分される」など著者独自の現代日本人論が展開されている。
西日本新聞
Tokyo Cultureに書評が掲載されました
夕刊フジに書評が掲載されました
小泉八雲の著書名が示すように、出雲は「神々の国の首都」である。であるがゆえに日本最大の神話の里で、歴史好きにはつねに気にかかる土地だが、その地を実際につぶさに歩き、探索したのがこの本。
著者は出雲出身の元技術者の兄弟。歴史の専門家ではないが、自分たちが育った地域をあらためて見直してみようという姿勢が、わかりやすい記述をもたらしている。いくつもあるという「黄泉の国の入り口」探しはミステリアスだし、数々の神社めぐりは身近なところに歴史が息づいていることを気づかせてくれる。また、元技術者だけあって、この地の銅・鉄といった金属資源が「出雲」という国づくりにいかに寄与したかについての解説は詳しく、説得力がある。
有名な名所だけを回る観光はあまりリピーターを呼びそうにない。地域を活性化するのは本書のような歴史「散歩者」の視線だろう。
夕刊フジに書評が掲載されました
最近では、シン・ゴジラの上陸地点として話題になっている蒲田だが、じつはこの街、語るべき多くのエピソードを内に秘めている。

戦前の蒲田は「モダン都市」だった。都心から適度な距離にあったせいか、当時の先端技術をもった工場が集まり、住宅地も整えられている。
飛行場や映画の撮影所まであり、隣の大森に住む多くの「文士」たちが闊歩する街だった。ところが第二次大戦中、多くの工場が軍需産業と化したことにより、米軍の集中的な空襲を受け、街は壊滅した。もちろん蒲田は見事に再生したわけだが、同時に「闇市」「危ない」「ごちゃごちゃ」といったイメージが独り歩きしてしまったのも事実。これは過酷な環境の変化や多様性を受け入れてきた蒲田の「懐の深さ」ゆえの「ごちゃごちゃ」感であると著者は述べる。都会でもない、田舎でもない住みやすさがあり、さらに多国籍であるという蒲田のカオスな魅力を発見できる本。
日刊ゲンダイに藤沢周氏による書評が掲載されました
明治維新は革命ではなく「会社更生法」に納得
10月☓日
野分とともに鎌倉に戻れば、一冊の大部の書物が届いておる。

おう! 書誌学者、文学研究家、文芸評論家、そして、人生論の達人でおられた故・谷沢永一先生の人間論集大成ではないか!
見た目初老、中身スカスカの我にとっては啓示のごときありがたき書物。にしても上下2段組か。だが、はじめの「読書通 精選 署名のある紙礫」から読み出したら、もう面白くて面白くてやめられない。読んでいる傍から、一行一行が生きた知識として、沁〈し〉みるように入ってくる。事象の表層ではなく、物事や世界の原理を根本から教えてくれるのだ。これは読んでいるだけで、人間通。「歴史通」「人物通」「時評通」と、老練の碩学〈せきがく〉が観察と思考の秘訣を惜しみなく開示しているのだ。あの天下分け目の関ヶ原の戦いが、人間通にかかると、わずか3時間ほどの派閥争いに過ぎないとバッサリ。さらに、明治維新は革命ではなく、「会社更生法」の申請であるとも。思わず膝を叩いて納得。人間を知り尽くすと、世界の動きがかようにくっきりと見えてくるのか。これがあれば、池上彰さんと対談になっても怖くはないな。ま、そんなオファーはこないだろうが。
10月☓日
「近代は信長の時代から始まったんだよ」「日本の議会制民主主義は徳川政権が始まりだから」と、得々と呑み屋で話してみるが、突っ込まれるたびに、谷沢永一をひそかに鞄の中で開く有様。人間通、歴史通には程遠いが、勉強勉強。面白い本をまだまだ読めるのだったら、歳を取るのも悪くない。



